民主主義は最善か(その2)

政治にとって、民主主義はベストな方法ではありません。でも、国民にとっては、選挙という行動を通して、自分たちが代表者を選べるので、民主主義はたいへん受け入れやすい政治制度です。また選んだ政治家が気に入らないのなら、次の選挙で落せばいいので、革命や暴動が起こりにくい。政治家にとっても、悪い政策を行なっても、国民からの信託を受けているのだからと、責任回避できる都合のいい制度です。でも、民主主義には、外見だけで判断してひどい政治家を選んでしまったり、次の選挙で落されないように、痛みを伴うようなことは先のばしにし、国民に媚びを売るその場しのぎの政策を政治家が行ないやすいなどの欠点があります。

民主主義よりも、選挙によらない賢人による独裁政治なら、国民全体にとって、きっと優れた政策を実行できるでしょう。しかし選挙を経ない独裁は、下手をすると、一部不利益を被る者たちによる革命や暴動が起こり、処刑のリスクさえあります。

強大な権力は得たい、でもリスクはとりたくない、そう考える独裁者なら、形だけの民主主義を取り入れて、不正な選挙(または自分が選ばれやすい選挙制度にする)を行ない、自分が選挙によって選ばれた形にするのが、得策でしょう。

所詮、人間は動物であって、人間社会全体のことを考えて合理的に行動などせず、自分のエゴで動きます。理想世界の共産主義は受け入れられず、貧富の差が生み、矛盾だらけであっても、人間のエゴを満足させる資本主義を好む。賢人による独裁政治よりも、愚者による民主政治を好む。結局、人間社会では、人間の動物性が満たされないと、どんな優れた制度があったとしても、成立しないということです。