新型コロナの実体(その2)(アビガン開発の白木公康先生の論文まとめ)

新型コロナウイルス
●新型コロナは突然変異するのか
インフルやC型肝炎HIVは変異しやすいが、コロナウイルスは例外的に変異を起こしにくい。コロナウイルスは校正機能を有する酵素を持つので、変異が起きてもそれを除去して正しい遺伝子を複製する。
また新型コロナには、セリン型(S型)とロイシン(L型)があるといわれるが、28144番目の塩基の違いだけで、免疫学的に違うウイルスではなく、2回かかるとは思われない。
※カリフォルニア大学のチャールズ・チウ教授によると、新型コロナの突然変異のスピードはインフルの1/8から1/10とのこと。
※L型のほうが毒性が強いとの話もあるが、明らかではない
コロナウイルスの感染力
従来のコロナウイルスは、気道の細胞からのウイルス産出量が、インフルの約100分の1程度でインフルほど感染能力は強くない。ウイルスは乾燥すると力を失い、飛沫(10マイクロメートルの大きさ)で2メートル離れると感染しない。しかし湿気のある密室では乾燥を免れるため、数分~30分程度感染力を持つ。インフルは、通常の呼気の87%を占める1マイクロメートルのエアロゾル(空気中を漂う小さな粒子)でも感染力を持つ。空調停止の飛行機内で1名から37名に感染例もある。点鼻(直接鼻の細胞に付着)では、到達できるウイルスは限られるのだが、エアロゾルでは上下気道に直接感染するため、100倍以上よく感染する。一方、物を介する感染では、さらに多くのウイルスが必要。従来のコロナウイルスは物を介しての感染とされているが、新型コロナは物と飛沫の両方から感染する。なお大きな飛沫は外側が乾燥しても、内部のウイルスは感染性を保持するので、物を介する感染源となる。
※新型コロナは飛沫でも感染するので、従来のコロナより感染力は高い。また従来のコロナよりウイルス産出量が多いらしい。
●感染の予防
加湿すると、気道にはやさしいが、エアロゾル中のウイルスの乾燥を妨げ、感染力を持ってしまうので、湿度を上げすぎないように留意する。ダイヤモンドプリンセス号では1人の感染者から700名が感染している。香港ホテルでのSARS感染は、感染者の部屋を掃除した雑巾で別の部屋も掃除したため、感染が広がった。またウイルス量の多い排泄物(下痢便など)が付着したものも感染源になる。感染者が鼻をかんだとき、テッシュや手に多くのウイルスが付着し、ティシュやその手で触れた物から人へ感染するリスクは大きい。
※トイレは非常に危険度が高い。トイレで手を洗うために蛇口を触るのも気をつけたほうがよさそう。
※香港の団地アモイガーデンでのSARSの集団感染は、ウイルスが下水管から排水管、浴室に流れ込んだのが原因とされる。

 ※医学部生の研究によると、インフル流行の際の感染機会の多くが「カラオケ」であった。密室で飛沫が飛ぶ、感染者のウイルスの付着したマイクを使い回す、飛んだ飛沫が飲食物に入るなどの理由だろう。

※SARSの場合、ウイルスはプラスチックで3日、痰や便で5日、尿中で10日の生存が確認された。

※は、筆者のコメントです。