コンピュータ将棋の強さ、将棋の深さ

勝敗を決するまでの将棋の手の数は、宇宙に存在する原子の数よりも多いと言われている。だから、いくら人工知能の発達しても、将棋の手をすべて読み切るのは不可能とされる。今のコンピュータ将棋は、人間の作りあげた定跡は無視して、全部の手を読む+コンピュータ同士の対局の繰り返しの手法でブレイクスルーし、とてつもなく強くなった。しかし、名人に勝利したポナンザの開発者は、これ以上ソフトを強くする方法が、わからないとも言っておられる。コンピュータ将棋の発達で、注目されることの一つは、将棋に必勝法があるのかということだが、少なくとも、今のコンピュータ将棋のレベルでは、それが見つかる可能性は極めて少なそうである。単純な動きの8種類の駒があるだけのたった81コマの世界でも、もはや「神」のレベルに達したコンピュータソフトを駆使しても、解明できないほどの深い世界がある。広い世の中の事象ともなれば、人知がはるか及びようもない真理が、満ちあふれているのは当然のことである。天才といえども、たかが人間が考えるようなことなど、「神」の作り上げた真理の前では、児戯に等しいのだろう。