藤井聡太四段は天才か

藤井聡太四段は、12歳のときに、プロの猛者も参加する難問ぞろいの詰め将棋選手権に、満点で優勝している。現在、詰め将棋を解く能力は、彼が日本一であろう。プロ棋士ならば、長手数の詰め将棋でも、苦もなく解けるのだろうが、難問の詰将棋は、盲点とも言える手を盛り込んでいる。それを藤井四段はすんなりとクリアできる。この能力は、とうぜん努力して身につくものようなものではなく、天賦の才能である。藤井君は、プロの登竜門三段リーグでは13勝5敗の成績である。それを考えると、プロ棋士四段のデビュー以来28連勝の記録は、たいへん失礼ながら、さすがに出来すぎである。初戦相手の加藤一二三九段が、神の力を注入されたのではあるまいかとさえ思えてくる。藤井四段の強さの原動力は、詰め将棋にみる読みの深さと正確さにあるが、中学生にしてあの精神の安定さにも驚く。古来、天才は奇人でもあるものだが、藤井四段はふるまいもよく、発言もきわめて常識的。天才は奇人が多いが、最近の天才は、羽生さんのように常識人も多い。いまどきの天才は、情報化社会を通じて、古来の天才の失敗例を学び、ほんらい天才とは相いれない一般社会とも、うまく折り合っていく知恵を身につけているのかもしれない。それにしても、デビュー以来28連勝はすさまじい。28連勝の記録がつくられたとき、絶対に破られない記録だろうとされた。藤井四段の三段リーグでの勝率は約7割2分で、その勝率で28連勝できる確率は、約0.01%(1万分の1)しかない。これはほんとに奇跡としか思えない。