藤井四段とハロー効果・ピグマリオン効果

藤井四段がデビュー29連勝を達成した。奨励会三段リーグの成績が13勝5敗で、この勝率で考えれば、29連勝は、確率的には奇跡(約0.008%、12500分の1の確率)である。では三段リーグが強すぎるのかといえば、そうとも言えない。ここ数年、藤井四段以外で三段リーグを抜け、四段になった者の成績は、ざっと調べた限りで、13勝10敗、9勝4敗、27勝16敗、18勝16敗、36勝19敗といったところである。三段リーグよりも、勝率は落ちている。では、なぜ藤井四段だけが、プロになった四段後、なぜこんなに勝てているのか。「神」の思し召しということで結論づけてもいいのかもしれないが、ここは教育心理学用語のハロー効果・ピグマリオン効果で考えてみたい。ハロー効果は光背効果とも言われ、いわゆる後光がさすというものだ。最年少での中学生プロ、詰め将棋の天才で読みが深く、終盤が無類の強さがあると相手がいわば物怖じして、手が伸びずに負けてしまう。これは私が将棋倶楽部24の将棋サイトで指していてもよくあることで、レーティング上の相手には、何となく気後れし、普段よりミスが多くなる。あとひとつ、ピグマリオン効果は、人から期待をかけられると、実力が十分に発揮でき、成績が向上するというもの。三段リーグでは、対局者は人生をかけて勝負しているのだから、ハロー効果で敵にひるむようなことはなく、また本人は期待よりもプレッシャーのほうが大きく、ピグマリオン効果も出ない。こんな勝手な分析をしてみたのだが、どうだろうか。「ハロー効果、ピグマリオン効果といってみたかっただけじゃないの」という読者諸兄のツッコミは、素直に認める覚悟であります。