加藤一二三は天才か

加藤先生は、対局マナーが悪いと、ときにひんしゅくを買うことあった。大きなカラ咳や鼻息、対局相手の後ろに回って盤をみる「ひふみんアイ」、駒をパンパンと打ち鳴らす空打ち・・・。でも、決して相手にたいして嫌がらせや悪意があるわけでなく、将棋にのめり込みすぎるから行なっている行為で、棋士の多くもそれがわかっているので、加藤さんだからと容認していた。対局相手の気持ちやマナーのことなど意に介さず、ただ一途に将棋にのめり込む。なんと幸せな将棋人生。その上、家族愛にも恵まれ、信仰にも恵まれ、人生を迷うことなく、歩まれている。多くのタイトルはとれなかったものの、十段位、名人位のビッグタイトルを奇跡的な妙手の発見で獲得された。そして、棋士引退のこの年、藤井四段プロデビュー第一戦の対戦相手、藤井四段新記録達成と同時期にプロ引退の巡り合わせ。マスコミでも大きな話題となり、いまや時の人である。ご高齢でボロボロになるまで、将棋を指されているのはどうかとも思っていたが、天才の人生は、凡人にはおよびもつかない。77歳にして、また大輪を咲かせられた。やはり神のご加護なのか。